VPNに接続すると遅くなる理由

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、ちょっと高価なものというイメージから必需品になりつつあります。数四半期単位でのサイバー脅威や検閲の増加によって、より多くの人々が安全性を保つためにVPNを利用するようになってきています。VPNは、個人の通信を転送するための安全なトンネルを作成し、通信を暗号化します。これによって第三者が個人のオンライン上にあるデータにアクセスするのを防ぎます。

VPN には他にも重要な役割があります。例えば、地域的な制限を回避することができます。お好みの地域のVPNサーバーに接続し、その場所のIPアドレスを取得できます。これによって一部のコンテンツに対するブロックを回避し、自由にアクセスできるようになります。

VPNを使用するデメリットの1つとしては、速度が低下することがあげられます。暗号化されたデバイスの増加とVPNの迂回技術により、速度の低下は避けられない場合があり、これに対してユーザーはある程度は納得しているようです。しかし、VPNを使用している場合でも、インターネットの速度を向上させるための特定の対策があります。

このレビューでは、VPNの速度が低い理由とそれを改善する方法について紹介していきます。

VPNはインターネットの速度を向上させることができますか?

VPNはインターネットの速度を低下させるという不満をよく耳にします。いくつかの限られたケースではありますが、VPNによって接続を改善することは可能です。こちらでは2つの方法を紹介します。

ISPのスロットリングを回避する

大きなファイルをダウンロードしたり、動画視聴している際などいくつかの場合、インターネットサービスプロバイダー(ISP)によって、インターネットの速度が調整されることがあります。ISPはユーザーのインターネット通信を検査し、活動を認識することで速度を低下させます。

VPNは、オンライン通信を暗号化することで、ユーザーのオンライン上での行動をISPに知られないようにし、速度を向上させることが可能です。したがって、ISPはインターネットを使用していること自体は知ってはいますが、誰が使用しているのかまでは分からなく、これでは速度を制限する理由にはならないでしょう。

インターネット通信の迂回

VPNはユーザーの通信を効率的に転送し、無駄な遅延をカットすることができます。

インターネットに接続するために、ISPは様々な場所にあるサーバーを介して通信を転送します。これはユーザーのインターネットが移動する場所のロードマップのようなものです。いくつかのケースでは、貧弱な基盤もしくはいくつかのプロバイダーとの調整のために遠方のサーバーを介して通信を転送するので、これがインターネット接続を遅くする原因となります。

しかしながら、VPNサービスに接続する場合は、VPNプロバイダーがユーザーの通信を転送するので、より優れた場所にあるサーバーに接続することができます。これにより、インターネット速度が速くなるでしょう。このようにVPNは、実質的にユーザーのインターネット接続を向上させる可能性があります。

VPN接続が遅い理由

ここでは、VPN接続が遅くなる一般的な理由をいくつか検証していきましょう。

サーバーからの距離

もし、VPNを使用している際に接続が必要以上にバッファリングされる場合、それは接続が遅いというサインです。この問題の最も一般的な原因は、ユーザーと接続しているサーバーとの間の距離が遠すぎることです。通常、VPNプロバイダーはサービスを暗号化するために接続するサーバーを保持しています。場合によっては、現在地とは違う国のサーバーに接続し、その場所固有のコンテンツにアクセスしたいこともあるでしょう。

しかし、サーバーの距離もインターネットの速度に影響することを知っておかなければなりません。サーバーが現在地から遠ければ遠いほど、インターネットの速度が遅くなる可能性があります。

サーバーの負荷

VPN接続時にインターネットの速度が低下するもう一つの主な理由は、サーバーの負荷が超過している場合です。それぞれのVPNサーバーで収容できるユーザー数は決まっています。多くのユーザーが接続し、サーバーが満杯になりかけたり、満杯になってしまうと接続が遅くなる可能性があります。場合によっては、サーバーに接続すること自体ができなくなることさえあるかもしれません。

特定のサーバーが他のサーバーより早く満杯になる理由はいくつかあります。例えば、アメリカやイギリスなどの通信が多い地域のサーバーは、他のサーバーよりも早く満杯になります。同様にユーザー界隈で高速であることが既に知られているサーバーは、多くのユーザーに人気なのですぐに満杯になり、接続が遅くなります。

暗号化する能力

また、VPNプロバイダーがサーバーで採用している暗号化のレベルも接続速度に影響します。暗号化することで第三者がユーザーのデータにアクセスするのを防ぐことができますが、このレベルの保護は速度の低下という代償を伴います。この場合、通信を暗号化・復号化するのに時間がかかることが速度が低下する理由です。通信を暗号化するということは、VPNサーバーを経由して通信を転送することを意味します。通信がサーバーに移動し、デバイスに戻ってくるまでにかかる時間は、実質的に遅延の増加に繋がります。

接続が遅いという問題を回避するために、暗号化が弱いサービスを選ぶ人もおり、これによって実際にインターネット速度が向上します。しかし、弱い暗号化はセキュリティが危険にさらされる可能性があります。

ISPのスロットリング

ISPのスロットリングもVPNを使用する場合にインターネット接続が遅くなる原因となる可能性があります。ほとんどのプロバイダーは、自社のサービスでVPNの使用を明確に禁止していませんが、VPN利用者の速度を低下させ、VPNの利用を妨げようとしています。また、速度を低下させる別の理由として、ほとんどのISPはトレントやP2Pファイルの共有に反対しており、インターネット速度を低下させることは、これを実現する1つの方法ともいえるでしょう。

遅いVPN接続の改善方法

もし、インターネット接続が遅い場合、以下のいくつかのヒントを使うことで問題を解決することができます。

別のサーバーに接続する

先ほど説明した通り、接続速度が遅い原因はサーバーにある可能性があります。これはサーバーが遠方にある、もしくはサーバーの容量がいっぱいになっている場合のどちらかです。どちらの場合でも、サーバーを変えることで問題解決する可能性があります。現在、住んでいる国の規制を回避したい場合は、近隣の国のサーバーに変更も可能です。もし、コンテンツにアクセスするために特定の国のサーバーに接続しなければいけない場合、選択肢は限られるでしょう。

もし、近くにあるサーバーがすべて満杯もしくはほぼ満杯の場合は、遠方のサーバーに接続する必要があるかもしれません。ほとんどのVPNプロバイダーは、選択した場所の最も高速なサーバーに自動的に接続するので、何度も試行錯誤をする必要はありません。

暗号化プロトコルを変更する

暗号化プロトコルを変更することで、VPNを使用中のインターネット速度に良い影響を与える可能性があります。通常、プロバイダーは様々な暗号化プロトコルを備えています。優れた速度とセキュリティを両立させるのに最適なのはOpenVPNです。もう一つの優れたセキュリティプロトコルはWireGuardです。しかしながら、新規参入したばかりということでまだそこまで多くは使用されていません。

もし、セキュリティにこだわらないのであれば、PPTPを試してみてはいかがでしょうか。これは古い暗号化モデルということもあり、解読するのは簡単です。ただし、VPNを使用する際にセキュリティを気にしない場合のみ使用してください。

インターネット速度が高速かどうかを確認する

一般的に全てのVPNは、接続することでインターネット接続が遅くなります。有料版プロバイダーの場合、その差がごくわずかになることが確認されています。しかしながら、インターネット接続が既に遅い場合にVPNを使用すると、さらに悪化するだけでしょう。

インターネットの速度を確認するには、まずVPNをオフにし、速度テストを実施しましょう。オンライン上で使用できるサービスがたくさんあります。最終的にテスト結果と一般的な接続を比較してみましょう。

バックグラウンドのアプリを消去する

バックグラウンドでアプリを使用すると、帯域幅とデータがゆっくりと減少する場合があります。インターネットに接続しているアプリが多ければ多いほど、速度が低下します。したがって、全てのバックグラウンドのアプリやファイル、不要なものを消します。次にもう使っていないアプリを見定めて削除します。

もし、ワイヤレス接続を使用している場合はオフにするとよいでしょう。ワイヤレス接続の速度は、経路上にある障害物に影響を受けることがあります。例えば、建物などの壁がWiFi接続を妨害している可能性があります。なので、ワイヤレス接続を切り替えると、実際に速度が速くなることがあります。

デバイスを再起動する

VPNを使用する際、単にデバイスを再起動するだけでインターネット接続が改善されることがあります。VPNの暗号化技術は、お使いのデバイスとの互換性がない場合があり、デバイスを再起動することで改善する場合があります。また、別のデバイスでVPNを使用することも検討してみましょう。

VPNプロバイダーを変更する

最終的に別のVPNサービスを選択する場合もあります。一部のプロバイダーは、シンプルにユーザーに素晴らしい速度を提供する機能を持っていないので、たとえどのような対策を行なっても、VPN速度はわずかにしか改善されない場合があります。したがって、こうした場合は別のサービスに落ち着きます。次の章では、検討するに相応しい素晴らしい2つのオプションを紹介します。

最高級の速度を誇るVPN

現在、オンライン上には様々なVPNサービスがありますが、中には他のものより速い速度を搭載しているものもあります。以下では、速度を基準とした場合に最適な2つのVPNサービスを紹介します。

ExpressVPN

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主な特徴

  • ストリーミングサイトへの無制限のアクセス
  • 最大5つの同時接続をサポート
  • ミリタリーグレードの256ビット暗号化
  • ログなしポリシー

ExpressVPNは、業界の中心的な存在といってもいいでしょう。何年も前から、その確固たる地位を維持してきました。加えて、ユーザーがサービス利用してからも不満がないように最高級の機能を備えています。

このプロバイダーは、世界94ヶ国120拠点に約3000台ものサーバーを保有しており、この広域のサーバーは高品質な速度を確保するのに優れています。もしも、現在の接続が遅いと感じた場合でも、広範囲に及ぶサーバーから新たに選択することができるため、質の高い速度を確保できるというわけです。いくつかのオンライン上にあるレビューを見てみると、このプロバイダーのインターネット速度が速いことがわかるでしょう。

さらにExpressVPNは、セキュリティを高めるために速度を犠牲にして遅くなることはありません。このサービスでは、ユーザーが使用するサービスをあらゆる第三者から保護する優れたセキュリティ機能が使用できます。この機能には、プロバイダーがサーバーを保護するAES256ビット暗号化モデルが含まれます。また、Lightwayの名で知られる独自の優れたVPNプロトコルを採用しています。このLightwayのセキュリティプロトコルは、WireGuardよりも優れているといわれています。そして、ユーザーのインターネット接続を高速化し、遅延やバッファリングを気にすることなく使用できます。

ExpressVPNには、様々な種類のデバイス用のアプリがあり、どんなデバイスであっても対応可能なアプリがあるので、インストールできます。また、ルーターにインストールすることで、より広範囲をカバーすることができます。ExpressVPNには、お手頃な価格の契約プランとサービスがあります。また、ユーザーは30日間の返金保証期間があるので、万が一サービスに不満がある場合は返金請求が可能です。

NordVPN

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主な特徴

  • 高速接続速度
  • 30日間の返金保証
  • プレミアム暗号化機能
  • 自動キルスイッチ

NordVPNは、私達が自信を持っておすすめするもう1つの超高速VPNサービスです。このプロバイダーもまた、VPN界隈において長い歴史を持っており、様々なケースで定番のプロバイダーとみなされるようになりました。もし、初めて利用するユーザーやより速いものに変更したいと思うのであれば、NordVPNは素晴らしい提案となるでしょう。

NordVPNの速度評価を向上させる要因はいくつかありますが、その1つは世界59ヶ国に5300台以上のサーバーを保持していることです。その結果、ユーザーが望むどんな場所でも、大抵はVPNサーバーを見つけることができます。なので、サーバーが遅延した際もサーバーを変更する余裕があります。加えて、このプロバイダーは、オンライン時に最速のサーバーに接続する直観的なユーザーインターフェースを備えています。

また、NordLynxの名で知られる独自のプロトコルを有しています。これはユーザーが実行したいどんな活動に対しても、高速なスピードを保証することを意味します。さらには、AES256ビット暗号化モデル、キルスイッチ、スプリットトンネリング機能、難読化されたサーバーなどのセキュリティ機能も兼ね備えています。

NordVPNのアプリは、ほとんどのデバイスに対応しています。加えて、信頼性の高い返金保証制度(30日間)もあります。そして、何か問題が起きた場合に対応可能なカスタマーサービスもあるので安心です。

まとめ

VPNは最近、多くの人が利用し始めているソフトウェアの一つです。しかし、VPNサービスを利用するとインターネットが遅くなる可能性があり、まずはそれに対応する準備が必要になってきます。今回、この記事では、VPNを使用する際に速度が低下してしまうだろう理由を紹介しました。さらにこの難題を回避する方法も紹介しているので、VPNを使用する際は是非、参考にしてみてはいかがでしょうか。