VPNの合法性について

現代社会では、サイバーセキュリティに対するリスクが囁かれ、これらを抑制するために様々な手段が講じられており、その一つがVPN(仮想プライベートネットワーク)の利用です。VPNは使用するユーザーのIPアドレスを隠し、インターネット接続を暗号化し、インターネット上での安全を保証します。VPNを利用することで、ISPの追跡はじめ、意図的に速度を低下させるスロットリング、そしてインターネット検閲を回避できます。

しかしながら、このようなVPNの優れた利点をサイバー犯罪者達が悪用する傾向があるため、VPNを利用することが合法かどうかという懸念が高まっています。今回はこれらに関して詳しく説明していきます。

VPNを使用することは合法か?

VPNを使用することによって適用されるオンライン上での匿名性を悪用する人がいることは否定できません。また、様々な行政機関は、国民のデータを保存したり、監視することに大きな関心を寄せています。これゆえに、VPNを使用することが合法なのかどうかということが重要な問題となってきます。VPNを使用すること自体は合法ですが、いくつかの制限や条件がないわけではありません。

VPNの使用はほとんどの国で合法ですが、VPNを使用してオンライン上で非合法な行為を行った場合は違法となります。例えば、サイバーストーカーやオンライン詐欺、非道徳的なハッキングなどのサイバー犯罪を実行するためにVPNを使用することは、犯罪行為とみなされます。

さらに国単位でいうと、VPN を使用することに関しての合法性はそれぞれ異なります。VPNの使用は、アメリカを含む多くの国々で合法ですが、いくつかの国ではVPNの使用を制限し、規制されています。中でもベラルーシ、北朝鮮、トルクメニスタン、オマーン、イラクなどではVPNの利用が違法となり、禁止されています。こういった厳しい国の政府は、一般的に自国でのVPNの使用を制限することがサイバー犯罪やテロを抑制するためであるとし、その姿勢を正当化しています。

VPNサービスプロバイダーの利用規約をよく読んで、そのVPNプロバイダーが提供するサービスで何ができて何ができないかを知っておくことは重要です。また、トラブルに巻き込まれないためにも、滞在している国の法律でVPNの使用を認めているのか、全面的に禁止しているのか、それとも単に使用を制限しているだけなのかということを事前に把握しておくとよいでしょう。

VPNを合法的に使用する7つの方法

VPNは、オンライン上での匿名性とセキュリティ面の保護という大義名分のもとに作られました。時として違法行為に利用されることもありますが、多くの人々や組織がVPNを必要とし、合法的に利用しています。ここでは、合法的なVPNの使用方法を紹介します。

1.オンライン上の匿名性とプライバシー:VPNはオンライン上におけるユーザーの匿名性とプライバシーを保証します。ユーザーのIPアドレスを隠し、オンライン上で行動履歴を残さずにインターネットを閲覧することができます。また、多くの優れたVPNは、厳格なノーログポリシーを採用しており、これはVPNプロバイダーがユーザーのオンライン接続とデータを保存しないことを意味するので、漏洩の心配はありません。

2. ISPの追跡を逃れる:インターネットサービスプロバイダー(ISP)は、ユーザーの閲覧履歴やダウンロード履歴などの個人データを追跡・保存しており、行政や広告会社などの第三者に販売できてしまいます。このようなISPによるプライバシー侵害から逃れるには、VPNは最善の方法といえるでしょう。

3. オンライン上での安全性とセキュリティを保証:サイバー犯罪者達は、ハッキングによって悪用できそうな安全性の低いインターネット接続を常時探しています。ユーザーは強力な暗号化機能を兼ね備えているVPNを使用することで、セキュリティの追加レイヤーも提供されるので、インターネットを閲覧している間、ハッカーから安全に身を守ることができます。

4. オンラインIDを保護:VPNはオンラインID(アイデンティティ)を保護することもできます。例えば、IPアドレスはユーザーのオンラインIDの重要な一部で、オンライン上での行動を追跡するために使用されたり、オンラインIDを盗むために偽装されることがあります。しかし、VPNを使用すると実際のIPアドレスが隠され、世界中にあるサーバーに接続されることで別のIPアドレスに替わるので、本当の接続場所を誰にも特定されないで安全にインターネットを利用することができます。

5. 公共のネットワークで安全な閲覧が可能:街中にあるWi-Fiなどの公共のネットワークは暗号化されていないため、一般的に安全とはいえません。サイバー犯罪者達は、これらの安全性が低いネットワーク上を使用したユーザーの行動履歴を盗み取ろうとしています。多くの優秀なVPNは、軍用レベルの強固な暗号化を使用しており、決して安全とはいえない公共のネットワークでさえも暗号化します。なので、VPNを使用することでサイバー犯罪者達に各情報を盗まれる心配がなくなり、公共のネットワーク上でも安全にインターネット閲覧を行なうことができるようになるでしょう。

6. 地域的制限のあるコンテンツへのアクセスが可能:インターネット上でのWebサイトやテレビ局などのコンテンツの一部は、特定の地域(通常は国)内のユーザーだけが視聴可能など制限されることがあります。海外にいる時にお気に入りのテレビ番組を見逃したくないという方は、VPNを使用してこの地域制限を回避し、視聴することが可能です。VPNを使うことでユーザーのIPアドレスを別の国のものに替えて、あたかも物理的にその国に滞在しているかのように見せかけることで、制限されたコンテンツにアクセスすることができるようになります。

7. 価格差別をなくす:オンライン販売では、同じ商品やサブスクリプション契約でも地域によって価格が異なることがよくあります。例えば、先進国や富裕層が多く暮らす地域から購入する場合は、価格がより高くなる傾向があり、その逆もしかりです。しかしながら、VPNを使用することで、ユーザーの滞在場所を自由に選択することができるので、より安い価格で手に入れることが可能になります。

VPNは制限のある国では合法か?

世界にはVPNの使用に関する制限がある国が存在しますが、これは一体、どのような制限があるのでしょうか。ここでいう「制限のある国」とは、VPNの使用を全面的に禁止してはいない国のことを指します。しかしながら、国が利用を規制したり、時には国が公認しているVPNの一部を制限する場合があります。

一般的に制限をかける政府の多くは、インターネットの権利や報道の自由を抑圧してきた歴史を持つ国々です。そのような抑圧的な政権は、通常、国民がインターネット検閲を回避して海外のメディアにアクセスするのを防ぐためにVPNの使用を制限しています。

制限のある国でVPNを使用すること自体は合法ではありますが、政府が定めた法律や規制に沿ったものでなければなりません。この場合、引っかかるのはVPN接続する際のセキュリティ面でしょう。このようなVPNは国が規制しているので、ユーザーのオンライン上のデータが政府に渡らない保証はありません。

一方、VPNが禁止されている国では、VPNを使用すること自体が違法とされています。これらの国でVPNを使用してしまうと、場合によっては高額な罰金や投獄などの罰則を受ける可能性があるので、これらの国でVPNを使用することはおすすめしません。しかしながら、これらの国の一部の国民は、VPNの禁止を回避するための方法を考案しています。

以下では、世界の制限があるいくつかの国でVPNを使用することの合法性に関して説明します。

1. 中国

中国は、グレートファイアウォールの存在によって抑圧的なインターネット体制としての地位を確立してきました。中国政府は、Facebookなどの人気ソーシャルメディアサイトや検索エンジン大手のGoogleの使用を禁止しています。中国政府は、国民がこれらの制限を回避することを防ぐためにISPに命じて、国内でのVPNの使用を遮断させました。政府の許可なしにVPNを販売した場合は、重大なトラブルに巻き込まれる可能性があります。しかし、中国の法律に則ったVPNを使用することは可能です。

2. トルコ

トルコ政府は、これまで国内のソーシャルメディアへのアクセスを取り締まるために多くのことを行なってきました。同政府は、国民がこの地域制限を回避しないためにVPNのウェブサイトの多くを遮断しています。しかしながら、トルコ国内でのVPNの使用はまだ合法です。トルコ政府によって遮断されていない最適なVPNを見つけ出すためには、徹底的に調べる必要があるでしょう。

3. UAE(アラブ首長国連邦)

UAEの通信規制を監視するTRA(Telecom Regulatory Authority)によるVPNの規制は、世界でも最も厳しいものの1つと言われており、VPNを使用すると最大AED 500,000またはAED 2,000,000もの罰金を支払わなければならない場合があります。この権威主義体制によって、この国ではVPNのウェブサイトの多くが遮断されています。

UAE政府は、合法的な目的で使用する場合に限り、国内でVPNを使用することは違法ではないと主張しています。VPNを使用した上でUAEの法律や道徳、習慣にそぐわないコンテンツへアクセスすれば違法となります。なかでも政府は国内でのVoIP(Voice over Internet Protocol)サービスをブロックすることに注力しています。また、国内ではこれらの制限のあるコンテンツへのアクセスはもちろんのこと、VPNを使用しないでアクセスする場合も当然、違法となります。

4. イラン

イランには、国内で使用するために登録・承認されたVPNのリストがあり、これを輸入しているということは、イランでVPNの使用が合法であるということを意味しています。しかしながら、政府はその使用方法を監視しています。この国でVPNを使用したい場合、まずはそのVPNが国の公認のものであるかどうかを確認するのが最善です。また、VPNを利用する際には、イランの法律に違反する行為を行わないように十分注意しましょう。

最適なVPNサービスとは?

世の中に優れたVPNはたくさんありますが、その中でも以下の3つのVPNをテストした結果、最適であることが判明しました。これらのVPNの優れた機能を細かく紹介します。

ExpressVPN

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主な特徴

  • ストリーミングサイトへの無制限のアクセス
  • 最大5つの同時接続をサポート
  • ミリタリーグレードの256ビット暗号化
  • ログなしポリシー

ExpressVPNは、間違いなく最高のVPNサービスプロバイダーです。世界94ヶ国にある3000台以上の高速サーバーのうち、約164台もの超高速サーバーを有しています。セキュリティ面向上のためにAES-256ビット軍用レベルの暗号化を使用しており、あらゆるインターネット接続を暗号化します。また、スプリットトンネリング機能を備えており、通信(トラフィック)の一部をVPN経由で転送し、残りは直接ウェブにアクセスすることが可能です。ExpressVPNのセキュリティ面は、インターネット接続が切断された際に情報が漏洩しないように自動的に切断されるキルスイッチ機能や、オンライン上でのユーザーの行動履歴を残さない厳格なノーログポリシーを採用していることで、より強固なものになっているといえます。

ExpressVPNは帯域幅が無制限なので、バッファリングの心配をしないでネット閲覧や動画視聴、ダウンロードすることができます。主要なデバイスとオペレーティングシステムで利用可能なのに加えて、1つの契約で最大5台までのデバイスに同時接続可能です。また、NetflixやBBC iPlayerをはじめ、他の多くの動画配信プラットフォームのブロックを解除します。一方、費用面でいうと、1年契約で月額8.32ドル、単月契約では月額12.95ドルと、VPNの中でも最も価格が高い部類の1つではありますが、これらの素晴らしい機能を考慮すると十分過ぎる価格といえます。そして、これらのプランには30日間返金保証が付いているので安心して利用し始めることができるでしょう。

NordVPN

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主な特徴

  • 高速接続速度
  • 30日間の返金保証
  • プレミアム暗号化機能
  • 自動キルスイッチ

NordVPNも優れたVPNで、世界59ヶ国に約5000台以上のサーバーを保持しています。これらのサーバーの中には、トレントなどのファイル共有するのに特化したP2Pに最適化されたサーバーもあります。また、オンライン上でのユーザーの行動をAES256ビット暗号化で保護します。さらに、データを二重に暗号化するダブルVPN機能を備えているほか、3つのVPNプロトコル(IKEv2/IPSec、Open VPN、NordLynx)を利用することで、オンライン上のセキュリティを強化します。

また、NordVPNでは1つの契約で最大6台ものデバイスで同時接続が可能で、主要なデバイスやオペレーティングシステムとは互換性もあります。そして、帯域幅が無制限なこともあり、高速なインターネット接続が可能です。最も安いプランは月額3.71ドルで、これに30日間の返金保証もあることからVPN業界の中でも最適なVPNの1つといえるでしょう。

NordVPNは、専用IPアドレス機能を兼ね備えており、これによってより多くのメリットをもたらしてくれます。この機能は他の多くのVPNプロバイダーが採用している共有IPとは異なり、独自のIPアドレスを付与するもので、専用IPはプロバイダーが何度も行なう点検を避けるのに役立ちます。また、他のVPNユーザーが違法に共有IPを使用する可能性があるため、ユーザーのオンライン評価を管理することも可能です。

Surfshark

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主な特徴

  • 手頃な価格設定
  • 無制限のデバイス接続
  • 厳格なノーログポリシー
  • 自動キルスイッチ

Surfsharkはもう一つの優れたVPNです。AES256ビット暗号化によって、ハッカーやオンライン上の犯罪者からの安全を保証します。イギリス領バージン諸島に拠点があり、世界63ヶ国に約1700台以上のサーバーを保持しています。このVPNは広告やマルウェア、フィッシングなどの危険なものを次々とブロックします。また、ChromeとFirefoxの拡張機能をCure53に監査してもらった結果、セキュリティ面がより強固なものであることが証明されました。

Surfsharkは帯域幅が無制限であり、1つの契約であらゆるデバイスに同時接続できます。カスタマーサポートでは、24時間365日対応可能なライブチャットが使用可能です。費用面に関しては、24ヶ月間プランと契約すると月額わずか2.49ドルで、もちろん30日間の無料お試し期間も適用されているので安心です。支払い方法は、暗号通貨、Paypal、Google Pay、Amazon Payが使用可能です。さらにWindows、Android、iOSのデバイスはSurfsharkで正常に動作するでしょう。

Surfsharkを使用する際の付加優遇処置として、ユーザー紹介プログラムがあります。基本的には、加入者が他のユーザーをSurfsharkに紹介すると、使用料が1ヶ月分無料になり、これは紹介した人数に応じて増えます。

VPNの使用中にユーザーのオンライン上の行動は追跡されるか?

VPNは、ユーザーのコンピュータと接続先のサーバーの間に暗号化された接続(トンネルのようなもの)を構築するため、ユーザーの通信(トラフィック)は、VPNサーバーを経由して目的のウェブサイトに送られます。業界最先端であるAES256暗号化を兼ね備えるVPNを使用している限り、ISPを含め、誰もユーザーのオンライン上の行動を追跡することはできません。

VPNサービスプロバイダーは信用できるか?

VPNは、政府機関、ISP、ハッカーの監視の目からユーザーを保護することを約束していますが、果たして本当に信頼できるのでしょうか?ハッカーのようにデータを傍受して悪用したり、ISPのように接続速度を低下させたりすることはないのでしょうか?

今回、上記で紹介したVPNはどれも信頼できるサービスなので安心して使用できます。これらのほとんどがパナマやイギリス領ヴァージン諸島といった地域の厳格なプライバシーポリシーに則って運営されているので、ユーザーのデータを強制的に引き渡したり、違法に使用されることはありません。

しかし、ほとんどの無料版VPNに関しては決して安心とはいえないでしょう。

どのVPNを選ぶべきか?

現在、VPNサービスプロバイダーの数はどんどん増えており、どれを選べばいいのかとても迷います。そこで今回は、VPNを導入する前にそれぞれのVPNを評価するためのいくつかのポイントをご紹介します。

  1. 価格:トップレベルのVPNは、誰もが求める最高の機能を備えています。しかし、ユーザーの携帯電話やノートPCでそれらを使用するために最初から多くのお金を払う必要はなく、まずは契約プランの料金を確認するようにしましょう。毎月2~14ドル程度のプランがお手頃な価格といえます。
  1. 同時接続可能なユーザー数:これに関しては価格面と深い関連性があり、1つのアカウントで同時接続が不可能なプランの場合、デバイス毎に契約しなければならなく、より多くの費用がかかってしまうのでそういったプランは避けるようにしましょう。少なくても1つのアカウントで最低5台のデバイスに接続可能なVPNがおすすめです。しかしながら、より多くのデバイスを接続すると、それぞれのデバイスの速度が遅くなる可能性もあるので注意しましょう。
  1. セキュリティとプライバシー機能:これに関してはVPNを使用する上で必要不可欠といえます。VPNを選ぶ際は、安全なプロトコル、キルスイッチ、最高級の暗号化、ダブルVPN、専用IPサーバーなど、一流のセキュリティとプライバシー機能を備えているものを選びましょう。そうすることで、データ漏洩などの心配をすることなく、快適に動画視聴やネットサーフィンを楽しむことができます。
  1. 帯域幅:VPNを導入する大きな理由の1つは、インターネットを制限なく、自由に使用できるようにするためなので、帯域幅が無制限でないものを契約してしまったら元の子もありません。帯域幅に上限があるVPNよりも、帯域幅の無制限を提供しているVPNを常に優先するようにしましょう。今回、私たちが上記で紹介したVPNは全て帯域幅が無制限でおすすめですが、ほとんどの無料版VPNに関してはこの機能が備えているかどうかは約束できません。
  1. カスタマーサポート体制:VPNは、画面などあらゆる面でユーザーが使いやすくなるように心がけており、ダウンロードした後はどなたでもすぐに使えるようになるでしょう。しかし、VPNを使用する際に全く問題が起きないというわけではありません。もしも、問題が起こった時にすぐに助けてくれる信頼できるカスタマーサポートがあると安心です。また、様々な機能の解説記事やVPNに関して学べる機能を備えているVPNは、ユーザーが選ぶ際にプラスになるといえるでしょう。
  1. デバイスの互換性:もし、契約したVPNがお使いのデバイスと互換性がない場合は、VPNを使用することができません。そうならないためにもあらかじめVPNと互換性のあるオペレーティングシステムかどうかを確認するようにしましょう。また、今回紹介したトップレベルのVPNはブラウザの拡張機能も備えています。

まとめ

VPNを利用することに対する合法性は、これまでVPNが開発されて以来、ずっと議論され続けているトピックの1つです。この記事では、VPNの合法性に関する誤った情報を暴いて、VPNの合法性を細かく証明してきました。上記で紹介したいずれかの優れたVPNに加入することでオンライン上でのセキュリティとプライバシーが保護され、よりインターネットを楽しむことができるしょう。